(主に)英語ポッドキャスト視聴日記

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【ポッドキャスト視聴日記】清朝の時代に活躍した通訳たち

こんにちは。satomiです。

 
今日はHistory Extra Podcastを聞きました。History Extra PodcastはイギリスのHistory Extraという歴史雑誌がやっているポッドキャストで、なんと週6のペースで更新しています。
 
毎回違う歴史学者をゲストに迎え、その人の研究テーマについて30分程度語ってもらう構成です。マニアックなテーマが多く、背景知識不足でついていけない回も多いのですが、中には興味深いテーマもあり、それらを選んで聴いています。内容が100%理解できなくても、オタク(失礼!)の方が好きなテーマについて活き活きと語るのを聴くのは楽しいものです。
 
今回聞いたのは18世紀末から19世紀にかけて、中国の清朝と大英帝国の間の通訳を務めた2人の人物についてです。今では外国語を話せることは決して珍しいことではありませんが、当時はほとんどいなかったようです。2つの文化の言葉に精通し、通訳をするという稀有な役割を担うようになる人物たちの生い立ちも、それぞれとても興味深いものでした。
 
1人目はLi Zibaoという中国人で、1793年に清の乾隆帝と面談したマカートニー使節団の通訳を務めた人物です。中国の僻地で生まれ、祖父母がカトリックに改修したため、11歳の時にイエズス会の宣教師の勧めでイタリアのナポリにあるカトリック宣教師の学校に留学。それから20年間ナポリで過ごした後、通訳としてマカートニー使節団に参加します。
 
2人目はイギリス人のジョージ・トーマス・ストーントン。マカートニー卿の秘書であった父ジョージ・レナード・ストーントンについて11歳の時にマカートニー使節団に同行。その後1816年にアマースト使節団の通訳として再び訪中します
 
ストーントンの父親が今でいう教育パパで、息子に植物学(ひたすら藻の種類の名前を覚えされられたらしい)と語学の英才教育を施します。5歳からラテン語を学ばされたストーントン(息子)は、父親とはラテン語で会話しなければならなかったそうです。
 
父親とともにマカートニー使節団に参加したストーントンは、中国に向かう船の中で1年間、1日3時間の中国語の特訓を受けます。なかなか言葉が身に付かなかった周りの大人たちと違い、ストーントンの語学力はめきめきと上達し、中国に着いた時に中国人と中国語でまともに会話ができたのはストーントンだけだったようです。
 
ただ、11歳の若さで使節団の通訳をするわけにもいかず、ストーントンは広東の東インド会社で通訳として働くことになります。ストーントンの父親は敬愛するルソーの啓蒙主義に従い、幼少の頃にストーントンを同年代の子どもたちと一切関わらせなかったため、ストーントンは対人関係が非常に苦手で、東インド会社の同僚たちに嫌われてしまいます。そのため工場で働く中国人と仲良くなり、更に語学力と中国文化への理解が深まったようです。
 
江戸時代に活躍したジョン万次郎もそうですが、外国語が解る人がほとんどいない時代に2つの文化を結ぶ通訳を務める人は、誰もが興味深い人生を送ったのだな〜と感銘を受けたポッドキャストでした。